帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の10月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.4ポイント減の49.0と、2カ月連続で悪化した。原油高と人手不足でコスト負担が増大し、国内景気は弱含んでいると同社。業種別では、旅館・ホテルが同2.6ポイント減の41.0と、2カ月連続で悪化した。
10の業界別では、横ばいのサービスを除く9業界が悪化。改善の業界はなかった。
旅館・ホテルを含めたサービスは前月から横ばいの52.9。15業種のうち、人材派遣・紹介など6業種が改善、旅館・ホテル、娯楽サービスなど8業種が悪化。1業種が横ばいだった。
運輸・倉庫は同0.8ポイント減の48.7と、2カ月連続で悪化。ドライバー不足や軽油価格の上昇、相次ぐ自然災害による物流混乱が響いた。
小売は同0.7ポイント減の40.9と、3カ月連続で悪化。9業種の中では、食材価格高騰や人件費上昇の影響を受けた飲食料品小売など4業種が悪化。中国の大型連休による訪日客数の回復が追い風となった各種商品小売など5業種が改善した。
10の地域別では、7地域が悪化した。
このうち南関東は同0.6ポイント減の49.8と、2カ月ぶりに悪化するとともに、1年ぶりの40台となった。
改善は北陸、中国、四国の3地域。
規模別では、大企業が横ばい。中小企業と小規模企業が悪化した。
景況感に関する企業の主な声は次の通り。
「インバウンド景気が続いている」(現在、良い、各種商品小売)。
「訪日外国人の増加に伴い、業界全体として好調」(現在、良い、一般旅行)。
「大阪北部地震や豪雨被害、記録的な猛暑、台風21号に伴う関西国際空港閉鎖など、悪天候および災害による集客減が大きな悪影響を及ぼしている」(現在、悪い、旅館)。
「東京五輪需要に向けて、2019年以降は延伸を見込む」(先行き、良い、旅行代理店)。
「9月6日に発生した北海道胆振東部地震および大規模停電による、観光をはじめとする経済環境の悪化の長期化」(先行き、悪い、一般飲食店)。